仮想環境の本

Last Update 2011-08-20
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KVM関係

KVM徹底入門 Linuxカーネル仮想化基盤構築ガイド

出版社: 翔泳社 (2010/7/8)

各章は以下のようになっています。
  1 KVMと仮想化技術の基礎知識
  2 パッケージによるKVMの導入
  3 仮想マシンの作成
  4 仮想マシンの基本操作
  5 リソース制御と管理
  6 KVMのマイグレーション機能
  7 コマンドラインによる操作(libvirtとvirsh)
  8 QEMU入門

KVM、libvirt、qemuの基礎を説明してくれていますので、この1冊でKVMについて一通り知ることができます。

ただし、ネットワークについては簡単な説明だけなので、bondingやVLANを使用するような高度な設定に ついて知りたい場合は、次に紹介する「プロのためのLinuxシステム・ネットワーク管理技術」が 必要になります。

プロのための Linuxシステム・ネットワーク管理技術

出版社: 技術評論社 (2011/5/20)

各章は以下のようになっています。
  第1章  セキュリティ管理の基礎
  第2章  iptablesによるアクセス管理
  第3章  OpenLDAPによる統合認証環境
  第4章  Kerberosによるシングルサインオン環境
  第5章  KVM仮想化環境のネットワーク管理

第5章にのみKVMの記事があり、その内容はネットワークについてが大部分です。 そのため、KVMは一通り知っていて、KVMのネットワークについて深く知りたい場合や、 bondingやVLANを使うような場合に役に立ちます。

第5章は、最初に仮想化技術の概要を簡単に説明し、そのあとに本題のKVMのネットワークについて詳しい説明があります。 特に5.2~5.4章は、仮想ブリッジ、BondingやVLANなどの詳しい説明があり、これらはKVMのネットワーク設定を行う場合に 非常に役に立ちます。

5.2~5.4章の詳細

  5.2 libvirtdサービスによる仮想ネットワーク構成
      5.2.1 デフォルトの仮想ネットワーク構成
      5.2.2 仮想ネットワークの追加、削除、変更
      5.2.3 Bondingデバイス/VLANデバイスへのMASQUERADE接続
      5.2.4 virt-managerによる仮想ネットワーク管理
  5.3 ブリッジ接続による仮想ネットワーク構成
      5.3.1 ブリッジ接続による仮想ネットワーク構成
      5.3.2 Bondingデバイスのブリッジ接続
      5.3.3 VLANデバイスのブリッジ接続
  5.4 仮想マシンの仮想ネットワーク接続
      5.4.1 virt-managerによる仮想ネットワーク接続
      5.4.2 virt-installとvirshコマンドにようる仮想ネットワーク接続
      5.4.3 libvirt APIによる情報の取得
  

Linuxカーネル Hacks ―パフォーマンス改善、開発効率向上、省電力化のためのテクニック

出版社: オライリージャパン (2011/7/26)

各章は以下のようになっています。

  1章 カーネル入門
  2章 リソース管理
  3章 ファイルシステム
  4章 ネットワーク
  5章 仮想化
  6章 省電力
  7章 デバッグ
  8章 プロファイリング、トレース

仮想化関係は第5章のみとなり、第5章の詳細は以下のようになっています。

  28. Xenを使う
  29. KVMを使う
  30. DVDを使わずにOSをインストールする
  31. 仮想CPUの割り当て方法を変更して性能をあげる
  32. Extended Page Tables (EPT) を利用してゲストOの性能をあげる
  33. IOMMUでゲストOSを高速化
  34. IOMMU+SR-IOVでゲストOSを高速化
  35. SR-IOVで帯域制御
  36. KSMでメモリを節約する
  37. ゲストOSのディスクをマウントする
  38. ゲストOSから仮想マシン環境を識別する
  39. ゲストOSをデバッグする

基本的にカーネル関係のTIPS集みたいな本で、 ある程度Linuxを使っている中級者以上向けの内容と説明になっています。 また、1つ1つの項目は簡潔な説明が多く、読む方にある程度の知識が無いと、理解が難しい可能性があります。

仮想環境の記事で面白そうな項目を1つあげると、「39. ゲストOSをデバッグする」です。 これはqemu経由でゲストOSにgdbを接続する方法で、 これでゲストOSをアプリケーションのようにステップ実行することが可能だそうです。

また、仮想ホストからゲストOSのディスクを直接マウントする方法や、 IOMMUを使用してKVMでPCIパススルーの設定を行う方法など、KVMの込み入った使い方を したい場合に参考になる記事があります。

Software Design 2011年 05月号

出版社: 技術評論社; 月刊版 (2011/4/18)

第2特集に「KVMを使う理由」という特集記事があり、以下のような内容になっています。

  第1章   KVMの基礎知識
        Linuxカーネルに標準搭載された意味とこれから

  第2章   Fedora14による構築とLinux/Windowsの導入
        KVMで仮想環境を作ってみよう

  Appendix1 KVM環境で実現! 高機能クライアント接続
        SPICEで作るリモートデスクトップ

  第3章   Kickstart、Puppetと組み合わせて構築
        社内の余剰マシンで作るプチクラウド

  Appendix2 スナップショットやクローン機能を搭載
        PCで高信頼なクラスタストレージを作る Sheepdog

第1章、第2章ではKVMの基礎の説明と、Fedora14でのKVM設定の簡単な説明(14ページ)になっています。 第3章ではKickstartやPuppetを組み合わせた社内向けのKVMで使えそうな記事になっています。

最後のAppendix2では、Sheepdogの説明があります。 Sheepdogは、KVMで大規模仮想化環境向けのクラスタストレージシステムを構築する ものだそうで、今後メジャーになってくるかもしれません。


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